ミズくまくん

世界に誇る「水の山」プロジェクト ABOUT "MIZUNOYAMA" PROJECT

ミズくまくん

「水の山」コラム

#005 北杜市農業企業コンソーシアム

環境にも人にも優しい、未来の農業が作る、おいしいトマトの秘密。

北杜市の長い日照時間と1日の寒暖差が、美味しいトマトを作る。
さらにここ「有限会社アグリマインド」では、最新の技術を駆使した“未来の農業”を実現している。
会長の藤巻眞史さんは、このトマト農場の運営のほか、「北杜市農業企業コンソーシアム」という、
北杜市の農業に関する企業や研究機関、行政などとの連携機関の代表を務めている。
北杜市から広がる、未来の農業について話を聞いた。

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「カゴメが開発したトマトで食感、甘味、酸味のバランスとリコピン濃度が高いのが特徴なんです」。そういって私たちに採れたてのトマトを差し出してくれた藤巻さん。おいしさがぎゅっと詰まったトマトの味の濃さに驚いていると、藤巻さんは完全システム化されたアグリマインドの施設園芸について教えてくれた。

アグリマインドの方式は、世界一の農業大国・オランダの技術を取り入れたものだという。「どうせ農業をやるなら、日本の数倍の収穫量があるオランダを目指そうという思いからでした。そうして視察に行ってみたら、すべてパソコンで管理している新しい農業の形を見て、これは取り入れるしかない!と」。現在アグリマインドでの収穫量は、オランダのトップ水準量に並ぶほどというから驚きだ。

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ここで取り入れているのは、セミクローズド型という外気とほとんど接触しないハウス。「ハウス内に入る時は、下着以外の服を着替え、何度も消毒を行います。さらに社員には家庭でのトマト栽培やお弁当に生野菜を入れることを禁止しています。家庭菜園は思ったより害虫がつきやすく、知らず知らずのうちに持ち運ばれてしまうんです」。徹底されたクリーンルーム。そしてICTで管理された環境作りも特徴のひとつ。「グロワーという担当者が、毎日の天気・温度・湿度など様々なことを想定して、トマトを栽培するハウス内の温度管理や、炭酸ガスや養液の調整を行います。自動化されていますが、やはり作業は人間の手。トマトと会話できるようにならないといけません」。徹底された環境と、トマトを愛する人の心。おいしいトマトの理由が、理解できた気がした。

パソコンやスマホから遠隔でも操作できるという、まさに未来の農業。藤巻さんが農業を行うのに、この北杜市を選んだ理由を聞いてみた。「トマトに適した土地は、まず日照時間が長いこと。この地域の日照時間は日本一と言われているので、第一条件はクリアしました。そして、寒暖差がきちんとあること。昼間に作られた糖を、夜休ませて蓄積する。それがしっかりできる土地なんですよね」

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さらに藤巻さんは、北杜市の農業系企業をつなぐ「北杜市農業企業コンソーシアム」の発起人でもある。「北杜市のブランドを作りたいんです。そのためにも、みんなでひとつになってやろうと呼びかけました。お互いの技術や、持っているノウハウを共有して、全体の底上げをしたほうがいいと思ったんです」。現在15社の企業がコンソーシアムに加入し、北杜市という豊かな土壌で本物の野菜を作りたいという共通の思いを持っているという。

「北杜市という土地は高低差があるので、それぞれの作物に合った土地を選ぶことができるんです。また、水耕栽培の企業は、やはり水の豊かさを理由に北杜市に来られるところが多いですね」。北杜市には5つの水系があり、純水に近いものや、ミネラルが豊富な水など、作物によって必要な水を選べることも魅力だという。

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おいしい野菜を作るため、別の企業とも協力しながら地域に貢献しつづける藤巻さん。今後の目標を聞いてみると、「若者の育成」と答えてくれた。「農業は大変というイメージがあるけど、今はこうして機械と人の手を組み合わせて、いい野菜が作れているんです。命をつなぐ、大切な産業ですから、誇りを持って働いてほしい」

若者の意見を取り入れ、進化し続ける北杜市の農業。おいしく安全な野菜を食べることができるありがたさを、改めて感じることができた。

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